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キッチンへ歩く。
冷蔵庫の前で足が止まる。手を伸ばす先に、冷たい飲み物がない。
夏の朝、湿気を含んだ空気がカウンターのあたりに溜まっている。前夜、豆を仕込まずに眠ってしまうと、抽出に数時間を要する工程が、朝の動線の前に立ちはだかる。冷たいグラスを手にするまでの数時間を待つという一拍が、身支度の間に挟まったままになる。
カウンターの上に、透明な樹脂製の筒が置かれている。内部のステンレス製フィルターに、挽いた豆を入れる。水を注ぎ、水位線のあたりで手を止める。天面のパネルがついた蓋を閉める。
筒を持ち上げると、軽さが手のひらに残る。トライタン製のボトルは、ガラスのような透明度を保ちながら、片手で扱える重さに収まっている。

指先がスイッチに触れる。微かな駆動音が立ち上がり、気泡が下から上へと昇っていく。透明な壁の内側で、水の色が、底のほうから徐々に褐色へと変わっていく。
その間、視線はカウンターから離れる。洗面所へ向かい、身支度を整える動作が途切れずに続いていく。
15分後、駆動音が止まる。

機体からフィルターを引き出す。氷を入れたグラスに、褐色の液体を注ぐ。
外出前のバッグに、ボトルを差し込む。携帯用の蓋を取り付ければ、そのままタンブラーとして持ち出せる形になる。給水の動作が、朝の動線から外れることなく続いていきます。
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