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鬼怒川温泉駅、帰りは先頭
帰りのスペーシアX8号は鬼怒川温泉駅が始発になる。
発車前、まだ停まっている間に、コックピットラウンジへ向かう。

行きの北千住は、停車時間がほとんどなかった。
動き出した電車の中、車両をいくつも渡って、ラウンジまで運んだ。
今度は、違う。
止まったまま、ボトルとカップをそろえる。
ホームに、清掃をしていた人たちが立っている。

車両のドアごとに、一人ずつ。
電車が動き出すと、一礼する。
そのまま、見えなくなるまで手を振っていた。
帰りのコックピットスイートは、先頭。
行きは、後ろに流れていく景色を、酒を片手に眺めていた。
帰りは、違う。
正面から、鬼怒川の山と緑が近づいてくる。
進行方向いっぱいに広がる稜線。流れていくのではなく、迎えに行く景色。
下今市を通過する。
前日は気づかなかった機関区が、今度は見えた。
カメラを構える。

赤レンガの壁。中を覗くが、SLの姿は見当たらない。
線路だけが、四方に伸びている。
朝食を終え、一人は仕事へ戻った。
帰りは、5人。
車掌さんが、記念のボードを持ってきてくれた。
「SPACIA X」の文字。
「Xって言ったら、XJapanでしょ」
誰かが言って、腕を交差させる。

少し、恥ずかしい。
下今市を過ぎると、車窓の山が低くなっていく。北千住に近づくにつれ、見覚えのある建物が増えていく。
北千住、もつ焼きで反省会
北千住に着く。
もつ焼き屋に入る。

モツを、ホッピーで流し込む。グラスの中の泡が、少しずつ落ち着いていく。
しおりに書いていた予定と、実際に起きたことを思い出す。
予約が取れるか分からなかったコックピットスイートは、行きも帰りも取れた。
東照宮は、思っていたより狭かった。
ナビは、反対方向を指していた。
足湯のタオルは、結局いらなかった。
あとで知ったことだが、テレビの企画で同じ場所を巡っていたらしい。
SL、東照宮、温泉。
知らないまま、同じ道を歩いていた。
「次は、どこ行こうか」
もう、その話をしていた。
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