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玄関へ歩く。
三和土に足を置く。
湿り気を含んだ外気が、タイルのあたりに流れ込んでいる。
壁際に立てかけた箒が、傾いたまま床に落ちている。拾い上げ、滑り落ちない角度を探して、もう一度置き直す。隅に溜まった砂利を掃き出す前に、この置き直しの動作が挟まる。穂先を動かすたびに、箒が壁から外れて足元に倒れてくる。

玄関の隅に、鏡面の金属板が置かれている。三角形の底面が、タイルの上に密着している。ステンレス製の本体は、薄い板でありながら、置いた位置から動かない。
箒の柄に指先を掛ける。穂先がしなやかに曲がり、隅に溜まった砂利の方へ滑っていく。モロコシの繊維が地面を擦る音が、低く続いていく。

塵が、デルタ型の口の中へ集まっていく。ちりとりは傾かず、その場に留まっている。掃き出した灰色の塵が、口の縁を越えることなく収まっていく。
視線が、ちりとりから離れる。次の隅へ、穂先を動かす。配置を直す手間がなく、掃き出しから回収までの動きが途切れない。
箒とちりとりが、玄関の隅で、立ったまま並んでいます。
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