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夏の昼、リビングの椅子に座り直してから、テーブルに手を伸ばす。
その動作の途中で、布巾が視界に入っていた。
グラスの外側に滲んだ水分が、テーブルに輪を作っている。
手が飲み物へ向かう前に、まず拭く動作が挟まる。
コースターを使っていても、底面が張り付いて持ち上げる一拍が戻ってくる。
昼の作業の合間に挟まる手間が、積み重なっていた。

枡工房枡屋の木製コーヒーカップは、桧材を職人の手で組んだ構造を持つ。
熱伝導率が低い木材の性質により、冷たい飲み物を入れても器の外側に温度が伝わりにくく、表面に水滴が生じない。
角形のソーサーは底面が平らで広く、器との接地が安定している。
持ち手はなく、両手で包むか底から支える形になる。

器を引き寄せるとき、ソーサーの縁に指がかかる。
表面は乾いている。
持ち上げた底が、テーブルから静かに離れる。
布巾に手が伸びない。
視線が器に戻り、そのまま口元へ続く。
テーブルの上に輪は残っていない。
器は元の位置に戻り、ソーサーの角が窓からの光を受けている。
次に手を伸ばすとき、動作はそこから始まります。
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